2019年8月18日松本山雅vs名古屋
前節は久々の勝利を首位争い中の川崎から奪った名古屋。前節の勝利をきっかけに勢いをつけたいところだ。今節は残留争い中の松本山雅との対戦だ。さあ試合を観てみよう。
■攻める名古屋とカウンター狙いの松本
名古屋はサイドから中央突破という名古屋らしい攻撃を見せ、ゴールに迫る。
特に中央突破からの攻撃時にジョーへの楔パスに連動して両サイドから三人目の動きで名古屋の選手がジョーの周辺に走り込んでくることが繰り返されていた。チームの約束事の1つなのだろう。
ただし決定機はショートカウンターからが多いというのは内緒。
松本もカウンターから幾度となくチャンスを作っていた。
名古屋はやはりゴール前を固められると攻めあぐねてしまう。頼みの空中戦もここのどころゴールに結び付いていない。なぜだろう。
■今後
試合は終了間際に赤崎による同点ゴールで辛くも勝ち点1を拾った名古屋。こういう試合を続けて行けばチームの調子も上がってくる、ような気がする。
2019年8月10日名古屋vs川崎
10試合未勝利の名古屋。今節は名古屋が5バックから4バックに戻してきた。守備の立て直しを狙って5バックにした風間監督であったが失点は止まらなかった。やはり処方箋としてチーム方針と相容れない戦術を取っても選手達が直ぐに順応できずに、混乱してしまったのではないか。
どうせ失点するなら攻撃的姿勢で、名古屋らしくボールを支配して、相手をねじ伏せようという意気込みで試合に臨んだ名古屋だった。加えて、川崎は名古屋を悩ませる撤退守備ではなくポゼッションサッカーで真っ向勝負で挑んでくるという計算もあったのだろう。
■名古屋の守備
攻撃的に、とは言っても守備対策はしっかりと施してきた風間さん。直近の失点の多くがクロスからだったことを鑑みて、サイドハーフに守備力の高い和泉と比較的守備に戻る前田を置いた。しっかりとプレスバックしてくれる和泉と前田のおかげで相手に楽にクロスを上げさせないことに成功した名古屋は安定した守備を見せていた。
■好調な攻撃陣
左サイドは和泉吉田+シミッチの連携による突破、右サイドは前田のドリブル、中央はジョーへの楔パスからの中央突破、といつも通り多彩な攻撃を見せる名古屋。しっかりと攻撃が得点に繋がったことも一因だが、川崎が真っ向勝負で来てくれたおかげで川崎のゴール前にスペースがあったことも大きい要因だろう。
■ネットの片鱗
ボランチのネットはシミッチのように決定的なパスを出すことが多いわけではない。しかしボールの持ち方、動かし方が非常に上手い。前半15分頃のプレーのように体の動き1つで相手選手を動かしパスコースを作るのはボール回しのリズムを作ることもできるし、ボールポゼッションにより相手のプレッシング強度を削ぐことにも繋がるだろう。
今までは守備に熱心でないボランチだなぁという印象だったが、今後バルサのブスケツのようなプレーが出来るようになれば良いボランチになるのではないだろうか。今後が楽しみな選手である。
◼️今後
ようやく勝てた名古屋。調子の悪いチームの特効薬は勝利である。今までも点が取れていないわけでも無く、試合内容が悪かったわけでもないので、チームは息を吹き返すような気がする。
2019年8月4日浦和vs名古屋
長い長いトンネルの出口は未だ見えず、暗中模索が続く風間イレブン。勝てないときは勝てない、そういうものである。何が悪いかと言われても答えはない。強いて言えばチームの雰囲気が悪いとしか言いようがない。
■ディフェンスライン前の使い方
2点目のシーンに代表されるように、前半の名古屋の攻撃は浦和のMFラインとDFラインの間をうまく使えていた。特にジョーの驚異的なキープ力によりボールが収まり、中央に起点を作られてしまう。浦和MFもボールの供給源であるシミッチやネットにプレスをかけに行くのだが、そのMFが上がったスペースにジョーが下がってきてボールを受けるという状況に陥っていた。
■5バックの功罪
守備の崩壊と敵陣ペナルティエリア内の攻め手不足への対応策として後ろに重点を置いた5バックを採用した名古屋だったが、失点が止まらない。攻め手にしても速攻が多く、ボールポゼッションを志向するスタイルとは合っていないように思える。
風間さんとしては処方箋を施しているものの結果が出ていない。次節辺りでは、また前がかりな布陣に戻すのではないだろうか。
■終わりに
解説者も言っていたがグランパスは終盤に何となくずるずると下がる傾向がある。守備力が高いチームではないし、共通認識として撤退守備の意思統一もなされていないまま、下がるのは得策とは思えない。
今後はポゼッションするならする、撤退守備するならする、という意思統一が必要なのではないか。そういったリーダーシップを発揮する選手もフィールドにいないように見受けられる。
サッカーはチームスポーツだ。そのうえ、ポゼッションサッカーを志向するチームにおいて通常よりも一体感が重要になる。それこそ、ポゼッションサッカーと心中する、それくらいの意気込みとチームの共通認識が必要になるのではないか。
2019年7月20日 名古屋vsガンバ大阪
ここのところ8戦勝ち無しの名古屋、本当に深刻である。いつもは4ー4ー2を基本としている名古屋だが、今日は5バック気味の3ー4ー3のフォーメーションで来た。最近の数試合で守備が崩壊してしまい大量失点もあったので、守備の落ち着きを狙ったのだろう。名古屋のスタイルとしてリスクは覚悟の上ではあるとは思うけれど、さすがの風間さんも修正すべきと判断したのだろう。
左サイド中心の攻め
幾度か見られた形が下図のような吉田の中央に入っていく形である。特に和泉とスイッチする形で中央に抜けていた。一般的な形は縦方向にSHとSBがスイッチして敵陣サイドの深くに出ていくが、その横方向バージョンといえよう。このスイッチの利点は、相手DFが吉田に付いていくか、マークを受け渡すかの判断を迫られることにある。ここでDF同士の意思の疎通がうまくいかない一瞬の間に吉田はフリーになれる。
右サイドの前田・宮原のコンビネーションも強力と思われるが、攻めの中心は左サイドだった。他の試合でも左サイドからの攻撃が多いので対戦相手によっても変えているわけでも無さそうだ。配球の中心を担うシミッチが左利きだからだろうか。
今後の名古屋
試合はアディショナルタイムに失点した名古屋が勝ち点2を取りこぼして終了した。人海戦術とはいえ守備は改善され安定してきているように見えたので、一度仕切り直して守備を立て直し、そこからまた攻めに比重をかけていくというほうがよいだろう。やはり良い攻撃は良い守備からである。
2019年6月30日 神戸vs名古屋
前節も勝ち星に恵まれなかった名古屋。風間監督は前節明けの練習前に選手同士で、これからどうすればよいのか話し合う時間をもうけたらしい。ここのところ価値に恵まれていないので、今日の神戸戦は是が非でも勝ちが欲しい名古屋である。
走る米本
今日はCBの丸山がいない。代わりにシミッチが左CBに入っている。だからといって汗かき役の米本の役割は変わらない。今日も何度か右CHの位置から左インサイドレーンの奥までランニングしていた。その一回が得点に結び付いた形となった。相馬のカットインも見事だったが米本のダイアゴナルランがあったからこそだったと思う。
走り込んだ米本とワンツーした相馬からのシュートがリフレクトし、宮原がラッキーな形で得点したが、こういったアイデアがもっと出てくると引いて守る相手にも勝ち星を取れるようになっていくのではないか。
走る宮原
右サイドでもSH前田とSB宮原のコンビネーションによる突破が目立った。何度か見られたのが、宮原のインナーラップである。このインナーラップの主目的は前田のカットインコースを開けることにあった。
気になるのは左サイドと違い、右サイドにはCHのダイアゴナルランがあまり見られないことである。この非対称性については今後注視していきたい。
失点シーン
神戸の1点目は名古屋の弱点である高いディフェンスライン裏を使われた形となった。カウンターからの失点はある程度想定の範囲内ではあるのだが、やはり対策は打つ必要があるだろう。この場合パスの出し手を自由にしすぎてしまった。ビジャクラスのFWに何度も動き直しを許してしまってはディフェンスラインが丸裸になったも同然である。
バルサのブスケツのように、ボール奪取ができなくてもパスコース制限し、出し手を制限することが必要である。やはりポゼッションチームのアンカーには足元の技術だけでなくリスク管理もできる選手が必要である。
ひとりごと
試合は5ー3で神戸が勝ったがPKが2本もあったことを考えると名古屋はそこまで悲観することはないのではないか。流れから2点取れているのだから、このまま続けていけば勝ち星は付いてくるように思える。
2019年6月25日 日本vsエクアドル
この試合に勝てばコパアメリカGL突破が決まる日本。メンバーはウルグアイ戦とほぼ同じだが、安部に代えて久保がメンバー入りした。さあコパアメリカという航海を続けるためにも必勝が義務つけられている森保ジャパンの負けられない戦いを見ていこう。
攻撃の起点は柴崎
攻撃のトリガーは柴崎が担っていた。良質な楔のパスも積極的に入れていた。特にボールを奪った場面ではファーストチョイスは楔のパスを意図しているように見えた。
基本的には中央突破狙い。岡崎・久保にボールを入れてからSHが絡んでの速攻が多かった。
エクアドルも前からボールを取りに来ていたが、日本にボランチ脇を良いように使われていた。CBも下がるFWに積極的に付いて行くわけでも無かったため、ボランチ脇で簡単にボールを引き出せた日本はそのまま速攻に移れていた。
サイドバックの上がりが少なかったのは攻め上がる時間が無いからというよりはリスク管理の側面が強かったかもしれない。中島のドリブルはボールロストする場面が目立つものの、反面一番何か起こせそうな雰囲気もあった。いつも通りじゃんじゃんドリブルを仕掛けていたが、今日は回りを使う意識もあり無理なドリブルは減っていた。
開始からGKからボールを繋ぐ意識を見せる姿勢を示す日本だが、逆にボールロストからあわや失点という場面もあった。森保ジャパンの基本姿勢はボールポゼッションではあるが、急造チームではスムーズなポゼッションは難しく、森保さんの頭を悩ませていたのは間違いない。
守備は4ー4ー2
エクアドルの狙いは日本の左サイド。中島の帰陣が遅いことはバレている模様である。杉岡が可哀想である。日本の左サイドにロングボールを放り込んでくる。ところがどっこい今日は守備に走る中島。CHの柴崎板倉コンビも折り込み済みなのかケアしていた。
ひとりごと
結果は1-1のドロー。日本もエクアドルもコパアメリカ敗退が決定した。岡崎の動き出しの質、落ち着きはやはりプレミア仕込みである。大学生ストライカーの上田綺世と比較してしまうから余計にである。上田綺世もボールを引き出す動きは良くチャンスを作り出していたので、今大会を糧に来年の東京五輪ではブレイクしてほしい。
2019年6月22日 名古屋vs清水
風間体制も就任3年目を迎え、風間監督の哲学はチームに浸透してきているように見える。ビルドアップからアタッキングサードへボールを運ぶ過程で各選手に迷いはなく非常にスムーズにボールポゼッションをしている。特にチームの共通認識としてボールホルダーを中心とした菱形形成によるボール前進が多用されている。
菱形形成によるビルドアップ
常に菱形形成によりパスラインを複数確保することにより安定したビルドアップを実現する名古屋であった。菱形の各頂点に入る選手は決まっておらず、菱形形成が第一なため名古屋の選手が定位置から離れてポゼッションが行われていることもしばしばであった。
特徴としてはCBもボールポゼッションに完全に組み込まれており、定位置を完全に離れてサイドライン際まで進出する。CBだからといって、ずっと最終ラインにいつまでもいるわけではないのだ。
さらにリスク管理も考えられており、サイドライン際でCBがボールを持った際はニアゾーン付近にアーリークロスをあげることが約束ごとになっているようだ。その理由としてはリスク管理もあるがCBがサイドライン際にいるということはSHもSBも前線にいるはずなのでニアゾーンに放り込めば何か起こるはずだ、いや起こせ、という設計になっている。
清水の狙い
対する清水の狙いもはっきりしており、サイドバックの裏を再三狙っていた。繰り返されるサイドバックの裏へのパスから繰り出される決定機に対し神がかり的なセーブを繰り返すランゲラックはやっぱりすごい。しかし、いくらランゲラックでも無理なものは無理である。清水の狙いは得点という形で結実していた。
いとも簡単に自陣のニアゾーンを攻略されており、これではランゲラックもたまったものではない。
2失点目も同じような形から生まれており、サイドバックの裏をケアすべきシミッチのディフェンスに問題があるように感じる。チームとしてその問題は共有されているのか米本がシミッチの分まで走り回っているが一人ではいかんともしがたく、アディショナルタイム終了目前での勝ち越し弾を許すことになってしまった。
今後、風間監督がこの問題をどう対応していくのか見ていきたい。ただまあ、シミッチに守備を徹底させるのか、逆サイドが絞ってくるかといったところが妥当な策になるだろうか。
今後の名古屋
アタッキングサードにボールを運べているのだが決定機を作れていないのが気になる。攻め方がデザインされすぎていて、ペナルティエリア内でのアイデアが発揮されていないようにも感じるので、シャビエル、前田、マテウスといった攻撃陣のクリエイティブなプレーに期待したい。