2019年6月22日 名古屋vs清水
風間体制も就任3年目を迎え、風間監督の哲学はチームに浸透してきているように見える。ビルドアップからアタッキングサードへボールを運ぶ過程で各選手に迷いはなく非常にスムーズにボールポゼッションをしている。特にチームの共通認識としてボールホルダーを中心とした菱形形成によるボール前進が多用されている。
菱形形成によるビルドアップ
常に菱形形成によりパスラインを複数確保することにより安定したビルドアップを実現する名古屋であった。菱形の各頂点に入る選手は決まっておらず、菱形形成が第一なため名古屋の選手が定位置から離れてポゼッションが行われていることもしばしばであった。
特徴としてはCBもボールポゼッションに完全に組み込まれており、定位置を完全に離れてサイドライン際まで進出する。CBだからといって、ずっと最終ラインにいつまでもいるわけではないのだ。
さらにリスク管理も考えられており、サイドライン際でCBがボールを持った際はニアゾーン付近にアーリークロスをあげることが約束ごとになっているようだ。その理由としてはリスク管理もあるがCBがサイドライン際にいるということはSHもSBも前線にいるはずなのでニアゾーンに放り込めば何か起こるはずだ、いや起こせ、という設計になっている。
清水の狙い
対する清水の狙いもはっきりしており、サイドバックの裏を再三狙っていた。繰り返されるサイドバックの裏へのパスから繰り出される決定機に対し神がかり的なセーブを繰り返すランゲラックはやっぱりすごい。しかし、いくらランゲラックでも無理なものは無理である。清水の狙いは得点という形で結実していた。
いとも簡単に自陣のニアゾーンを攻略されており、これではランゲラックもたまったものではない。
2失点目も同じような形から生まれており、サイドバックの裏をケアすべきシミッチのディフェンスに問題があるように感じる。チームとしてその問題は共有されているのか米本がシミッチの分まで走り回っているが一人ではいかんともしがたく、アディショナルタイム終了目前での勝ち越し弾を許すことになってしまった。
今後、風間監督がこの問題をどう対応していくのか見ていきたい。ただまあ、シミッチに守備を徹底させるのか、逆サイドが絞ってくるかといったところが妥当な策になるだろうか。
今後の名古屋
アタッキングサードにボールを運べているのだが決定機を作れていないのが気になる。攻め方がデザインされすぎていて、ペナルティエリア内でのアイデアが発揮されていないようにも感じるので、シャビエル、前田、マテウスといった攻撃陣のクリエイティブなプレーに期待したい。